ジェンダーという言葉が社会で広まる中だけど、この手の話が苦手な男性もいるだろう。
これまでの社会で、男性が女性を抑圧してきたという大きな流れの中で、言いたいことを伝える「ものの言い方」がとにかく難しくなっている。色々と言葉を選び、飲み込んでいる男性は多いと思う。
『捨てられる男たち』（奥田洋子）には、ハラスメントで訴えられた側、つまり加害者側の男性を取材した本だ。
パワーハラスメントはもちろん、女性登用がうまくいかずマタニティ・ハラスメントを告発された人、出世する妻に嫉妬して家庭内のモラル・ハラスメントに陥った人、、
著者は、男たちがハラスメントをしてしまう背景を分析し、過去の男性中心的・画一的な価値観を引きずっている実態をあぶり出している。
根が深い「無自覚ハラスメント」
49歳男性営業部長の事例はこうだ。
自分の得意先を紹介するなど期待をかけ世話を焼いた部下がうつ病で休職となり、パワハラを告発される。部下が提出したボイスレコーダーには、「お前、おとなし過ぎるぞ。死ぬ気で頑張れよ」といった発言が録音されていた。
十分な聞き取りはないままパワハラが認定され、譴責（けんせき）処分と降格人事がかされた。本人の弁は、「どれも自分が若い時上司から受けたものばかり。自分が成長できたように、部下の成長を願って指導しただけなのに……」というものだ。
本人に自覚のない「無自覚ハラスメント」の典型だが、10年以上この部長を取材してきた著者の思いは複雑だ。実は営業部長本人も過去にパワハラ被害を経験し、社内公募を通して人事部でパワハラ対策に取り組むほど、問題意識が高かった。
その後、営業部に戻った彼が言うには、パワハラ対策で作った想定問答集が現場では役に立たず、実態は「ほぼグレーゾーン」と感じたという。職場のありようや部下との関係性が過去の時代と変容していることを、理解しつつも戸惑っている心情が浮かび上がる。
時代は変わった
昔の価値観でずっと生きてるおじさん、おばさんは多いと思う。
それはそれで結構なことでもあるが、明らかに３０年前と今では時代は変わった。
男とは、女とは、という時代でもないだろう。いくら本を読もうが、研修を受けようが、腹で理解しないことは相手にも伝わらない。
年齢、性別問わず、一人の人間として敬意を示して接することができれば、ハラスメントなんてことは無くなるのではないか。
人のふり見てなんとか、ではないが意識して変えていこう。
これも、ウェルビーイング！
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