たとえ会社に捨てられても

以前ニュースステーションでお天気お姉さんをやってた河合薫さんが書いた記事。

河合さんは東京大学大学院医学系研究科に進学し、産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めており、会社員や生き方について非常に示唆に富むことをコメントしている。

どうすればウェルビーイングな生き方ができるかのヒントになる。

子供のなりたい職業第1位が「会社員」⁉

「会社員」が人気を集めているそう。。えっ??マジ??

全国の小学生(小学校3~6年生)、中学生、高校生の計3000人を対象に調査を実施した「大人になったらなりたいもの」ランキングで、「会社員」が男子の部で堂々のトップになったというのです(第一生命保険、第32回「大人になったらなりたいもの」調査結果より。2021年3月17日発表)。

平成の30年間で変質した「会社」

子どもたちには申し訳ないけれども「会社員」になっても、ずっと幸せでいられるとは限りません。いえ、子どもたちが夢見るような「会社員」はもはや幻想でしかないのです。

確かに、かつて「会社員」は幸せの象徴でした。しかし、平成の30年間で会社と会社員の関係は大きく変わりました。

今では、会社員を非人格化し、無節操に散々けしかけ、走らせ、持ち上げ、ある日突然、はしごをはずす。それが今の会社です。(おー)

(悲しい話)社員から選ばれた「リストラ執行人」の末路

おそらく誰もがそのことを肌で感じているはずなのに、人はものごとをあるがままに見るのが苦手です。

以前、50人の部下をリストラし、最後に人事部から渡された「リストラ・リスト」に自分の名前が載っていたという、いたたまれない話をしてくれた男性がいました。

彼は退職後、自分をまるで鉄砲玉のように使った会社に、一言文句でも言ってやろうと株主総会へ乗り込みました。すると驚いたことに、総会会場の入り口に「当時の人事部長が警備保障会社の制服姿で立っていた」というのです。

冷静に考えれば「リストラ請負人」に幸せな未来などあるはずがないのに、この男性も人事部長も「会社はきっと自分を評価してくれる」「会社は自分を必要としてくれる」と、会社の要求どおりに動いた。男性の会社員としての経験が、あるがままの姿を見えなくしてしまったのです。

会社の辞書に「社員の幸せ」はない

(注)全部が全部そーいうわけでもないけど。でもまぁそんな感じだと思うよ。

今は、「途方もない変化の真っ只中にいる」という現実を受け止めることです。

会社はもう「社員の幸せ」などこれっぽっちも考えていないのです。「あなた」に役割を与え、その対価を払っているだけ。旧態依然とした幻想を捨て、「私が幸せになる」ように主体的に動き、自分が期待する人生を手に入れないことには、明るい未来はありません。

たとえどんなにすばらしい社会的成功を収めても、それが「何か」をしてくれるわけじゃないのです。

悲しいエピソード

「再就職先は関連会社です。給料は下がりますが、気力と仕事の質には自信があったし、今までのキャリアを生かしてがんばろうと張り切っていました。ところが……半年後に出社拒否です。完全にメンタルをやられてしまったんです。」

原因はいろいろありますが、やっぱり人間関係は大きいですね。上司とも周りの社員とも馬が合わなかった。前の会社のときは、周りも私のことをそれなりに扱ってくれました。ところが、再就職先では私はシニア社員の一人でしかない。飲み屋ひとつとっても扱いが変わります。そんなことはわかっていたのに、実際に経験すると、プライドが傷つくわけです。」

「結局、1年もたずに辞めてしまった。周りに迷惑をかけるからそれだけは避けたかったんですが、情けないですよね。」

こう話す男性は、前職では常務でした。彼は「○○会社の常務だった私」なら、うまくいくと思い込んでいたのでしょう。しかし、現実は……ごらんのとおりです。

若手であれ、いい大学を出ている人であれ、ヘッドハンティングされてきた人であれ、同じです。「主体的に動かなかった人」は残念な末路を辿(たど)るのです。

「半径3メートルのゆるいつながり」が新しい世界を開く

河合さんはこれまでフィールドワークとして、800人近くのビジネスパーソンをインタビューしてきました。

リアルな声に耳を傾ければ傾けるほど、あるがままを受け入れる大切さを痛感すると共に、人を幸せにするのは、カネでも社会的地位でも権力でもない「あるもの」だと確信します。そのあるものとは……「人とのつながり方」です。

明るいエピソード

「私は早期退職して70歳まで働ける会社へ転職しました。前職の役職や実績がまったく役に立たず、現実を受け入れるのに苦労しました。」

「でも、どうにかするしかないなあと思いましてね。新入社員の頃やっていたことをやってみようと、早めに出勤して社内の掃除やらゴミ捨てをやりながら周りの人の名前や顔を覚えたり、何がどこにあるかも覚えるようにしました。」

「不思議と一緒にやってくれる人が出てきてくれて、今も毎朝やって、楽しく勤務しています。」

「思い起こせば私の父は中卒で、地道な努力をしてきた人でした。私にも父と同じようなものがあったのかもしれませんね。なるべく早く「俺が俺が」の黄金期を忘れて、明るく、楽しく、周りの若い社員や女性たちと仲良くして、自分の立ち位置を築くことが新しい働きがいになるんじゃないでしょうか。

この男性は現実を受け入れ、新しい環境で出会った人のことを積極的に覚え、その環境になじみ、周りとつながる努力をしたのです。それは「上司・部下」関係のようなつながり方とはまったく違います。肩書や職制でつながる組織内人間関係ではなく、自分という個人を中心とした「半径3メートルの環境」の中でよりよく生きようとしたのです。

こうした半径3メートルの豊かな人間関係のネットワークを、私は「ゆるいつながり」と呼んでいます。

人間の幸せは、他者との関係性の中に生まれるもの

この男性は、周りとゆるくつながることで、あることに気づきます。

「私にも父と同じようなものがあったのかもしれません」と語った、「真の自分」の姿に、です。社長や役員でもなければ、部長でも、正規雇用の会社員などでもない。○○大学卒でも、海外駐在経験者でもない「私」。これまでの人生で、自分という一個人の上にまとってきたすべての虚飾を取り払った「私」そのもの。

私なら、健康社会学者でもなければ、元「ニュースステーション」担当の気象予報士でも、テレビやラジオに出演するタレントでもない、一個人としての「河合薫」という存在そのもの。

つまるところ、人は他者の存在を通じてしか、自分がわからない。「私が幸せになる」には人とのつながりが欠かせないのです。

人生のどん底から一縷(いちる)の希望を見つけ、イキイキと過ごす人たちにあって、過去の成功にしがみつく人になかったもの。それは、なんら特別な才能でもなければ、特別な能力でもありません。彼彼女たちが共通して持っているのが「半径3メートルの上手な距離感」です。

自分を取り巻く半径3メートルの人と「ゆるいつながり」を築き、一人の人間と人間として助け合い、分かち合い、労(いた)わり合う。そんな「ゆるいつながり」こそが、幸せな人生につながる鍵となります。

幸福と健康をもたらすのは「人間関係」だった

この「半径3メートル」の「ゆるいつながり」、これこそが、今話題の「ウェルビーイング」。

「幸せ」は、「私」だけで成立するものではありません。どんな人にも「私」を取り巻く環境があり、その環境には例外なく他者が存在します。

これまでインタビューをしてきた人たちの中で、印象的な笑顔を見せてくれる人は、例外なく自分から動いて、周囲と「ゆるいつながり」を作れた人たちでした。

ある人は資格を取るために通った専門学校で、ある人は若い部下たちとの朝活で、ある人は町内会で、ある人はボランティアで、年齢もバラバラ、勤める会社も業種もバラバラ、性別もバラバラ。ただ、相手も人、自分も人であるというだけ。

そうやって周囲の人たちとゆるくつながった人たちは、「自分がいかに恵まれているかが分かった」と語り、「そこに行くと自分が若手だった。まだまだできそうだ!」と笑い、何年かぶりに「ありがとう」と言われたと、顔をほころばせました。

「ゆるいつながり」の大切さを示した偉大な実証研究

ハーバード・メディカル・スクールの研究者たちが「人生を幸せにするのはナニか?」を調べるために、75年間もの歳月を費やした「グラント研究」です。この研究は1938年に始まり、当時10代だった724人の人生を追跡しました。

半世紀以上続けられた研究で明らかになったのは、「人を幸福にし、健康にするのは、人間関係だった」という、極めてシンプルな事実です。

「家族や友人、会社や趣味の仲間たちとのゆるいつながり」を持っている人は健康で長生きで、経済的にも成功している人が多く、「身近な人たちといい関係」にある人は生活の満足度が高く、「いざというときに頼れる人がいる」と幸福感が高く、脳も元気で、記憶をいつまでも鮮明に持ち続けていました。

この研究は、私たちに多くのヒントを与えてくれている、と思います。自分の中にある「幸せになる力」を信じるか? 否か? それは“あなた”次第です。

改めて、ゆるーい人間関係って大事だなぁと思うし、できるだけ飾りのない素の自分で生きていきたいなと思う。

これもウェルビーイング!

昭和~令和までサラリーマンやってます。心がフッと軽くなる考え方や、元気に生きて行こうという気持ちになるブログを目指してます。誰かのために、もっとWell Being(幸福)な世の中のために!

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