おかげ犬

伊勢神宮に行った時に、おかげ犬という話しを初めて知った。

おかげ犬とは、主人の代わりになって伊勢神宮を参拝する犬のこと。

昔は電車やバスが無かったので、伊勢神宮までは歩いていくしかなかった。なので、例えば病弱で伊勢まで行けない主人に変わって参拝した犬がいたらしい。

福島県須賀川市十念寺には、お伊勢参りを無事に果たした代参犬、「シロ」という犬にまつわる犬塚が存在します。

「シロ」の犬種は秋田犬で、福島県で代々床屋を営んでいた市原家は、それはそれは大事に飼っていた犬でした。

市原家では毎年当主の綱稠(つなしげ)氏が、皇大神宮(内宮)神楽祭りに参拝するのが通例だったそうなのですが、ある年の事、当主が病気を患ってしまい、お伊勢参りに行けなくなってしまったとか。

そこでどうしたものかとみんなで相談をしたところ、普段から人の言葉を理解でき、買い物や用事をこなしてきた「シロ」に代参をさせようということが決まりました。

「シロ」の首には、事前に道順とお金、『人の言葉を理解するので道順を教えてあげてください、「シロ」を助けてあげてください。』と書いた紙を袋に入れて持たせ、伊勢神宮へと向かわせました。

市原家の人々は須賀川宿の外れまで「シロ」を見送り、その後は朝晩神棚に行灯を挙げ無事を祈ったと言います。

そして「シロ」は、市原家の期待に応えるように、奥州街道を下って江戸に入り、東海道~四日市市経由で伊勢神宮へ赴き、2カ月という長い月日を経て、無事に市原家まで帰ってきたのでした。

行きで持たせた袋の中には、しっかりと内宮で頂いたお札と、奉納金の受領、食べ物の代金を記した帳面とお金の残りがあったと伝えられています。

犬がご主人の代わりにどのように伊勢神宮を参詣したのでしょうか? 気になりますよね。誰からも代参だとわかるように、犬に道中でかかるお金や伊勢参りをする旨を書いたものをしめ縄でつけていたとのこと。

不思議なことに、誰も犬のお金を奪うようなことはしなかったそうです。むしろ犬をリレー式で伊勢神宮に連れて行ったり、エサや寝床を与えたりして、積極的にサポートしていました。当時の人たちは、そうすることで、徳を積めると考えていたそう。江戸時代の人たちは信仰心が厚く、温かい心を持っていたんですね。

そして、伊勢神宮にたどり着いた犬は伊勢神宮の神官から竹筒に入ったお礼をもらい、ご主人の元に帰りました。江戸時代に何頭の犬が伊勢神宮を代参したかはわかりませんが、歌川広重「伊勢参宮 宮川の渡し」や「東海道五十三次 四日市」にもおかげ犬が描かれていますので、結構な数の犬が代参していたようです。

犬の話しも可愛いし、当時の人々の信仰心もいいし、なんか日本人らしいし、ほっこりした気分になる。(おかげ犬の置物を思わず買ってしまった)

これも、ウェルビーイング!

昭和~令和までサラリーマンやってます。心がフッと軽くなる考え方や、元気に生きて行こうという気持ちになるブログを目指してます。誰かのために、もっとWell Being(幸福)な世の中のために!

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