私は洗濯機を持っていない。
しかし、不便や制約は、決してマイナスばかりではない。自分の頭と手を動かして編み出した「工夫」こそが、日常に確かな手応えと、自分らしい心地よいリズムをもたらしてくれる。
ランニングを終え、汗をたっぷり吸ったウェアを脱ぐ。私の部屋には洗濯機がない。
だからこそ、走った直後の手洗いが毎日の儀式だ。洗面所で丁寧に揉み洗いし、しっかりすすぐ。そして洗剤を入れてごしごし洗って水ですすぐ。

その後、登場するのは、「野菜の水切り器」だ。
濡れたシャツとパンツをセットし、ハンドルへ手をかける。一気に勢いよく回すと、遠心力でバシャバシャと水気が飛んでいく。手応えを感じながらハンドルを止めたときの爽快感。そのまま浴室のS字フックへ掛けるまでの流れには、無駄のない美しいリズムがある。これが驚くほど快適なのだ。
便利な機械に頼れば一瞬で終わる作業かもしれない。しかし、与えられた条件の中で知恵を絞り、自らの工夫で不便を乗り越えた瞬間、日常の「面倒」は「自分だけの心地よいプロセス」へと姿を変える。
- 手作業の肌触り: 自分の手で暮らしを整えているという確かな実感
- 工夫がつくるリズム: 創意工夫が、日々のささやかな達成感に変わる体験
「過去の当たり前」から一歩離れて工夫を重ねることは、いわば自分の暮らしを新しくアップデートしていく作業だ。文明の利器に囲まれた現代だからこそ、あえて制約を面白がり、自らの知恵で風穴を開ける。そのプロセスにこそ、本当のしなやかさと豊かさが宿るのだと思う。
桃太郎の冒頭に「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」のフレーズを思い出す。
私はそのおばあさんになった感じ。
知恵と工夫で、毎日はもっと面白くなる。
これも、ウェルビーイング!



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