日本人初のノーベル賞科学者である福井謙一先生の言葉が奥深い。
ある研究者が福井先生に研究内容を詳しく説明したところ、福井先生は「そんな細かいことを私は聞きたいのではない。研究の成果を、縦書き一行で言ってごらん」と言われたそうだ。
この『縦書き一行』というのが凄いと思う。
つまり、横書きの専門用語を使わずに、縦書きの一行というところに意味がある。それだけ研究の中身を凝縮して煮詰めて考えた末の内容を一行で伝える。
ともすれば、普段使っている専門用語を使って相手に説明しがちな傾向はないだろうか?科学者もそうだが、外資系企業でも「ASAPでお願い」とか「それはTBDで」とか「アジャイルでいこう」とか「KPIを設定して、PDCAをしっかり回す」とか、使っている側は専門用語ではないかも知れないが、その言葉を知らない人もたくさんいる。
そもそも人に説明するということは、相手がしっかりと腹落ちして理解することである。であるならば、曖昧な言葉や専門用語やアルファベットの分けわからない言葉を使わないで、伝えることを意識したほうがよい。
業界関係者同士であれば伝わるかも知れないが、そんな時でもそうしたことをしっかり意識することがコミュニケーションでは大事なこと。
そして、先生は米国に行って助教授を採用するときのインタビューでこう質問したそうだ。
「あなたが20年後にノーベル賞を取るとしたら、どんなタイトルで取ると思いますか?誰にでもわかる言葉で一言で表現してください」と。
すると、答えられる人は10人に1人もいなかったそうだ。ということは、冒頭の『縦書きの一行』で答えられる人はそれだけ物事を深く理解しており価値が高い人だと思う。
これから、何でも自分の伝えたいことを『縦書き一行』で伝えられるような思考力を身につけよう。
これは、以前ブログにも書いた加藤洋平さんの「成人発達理論」にも通じるところがある。自分の考え方を抽象度を上げてよく考えること。
例えば、「私言葉で言うと、それは●●ということです」という感じ。
専門用語やカタカナを使わないで分かりやすく伝えると、コミュニケーションは良くなると思う。
これも、ウェルビーイング!
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