本当に人は難しいものだと思う。
アメリカ大統領のリンカーンもそうだったようだ。人格者で思いやりが深すぎるので人事で難題にぶつかったという歴史家の指摘もある。
驚くほど高い心の知性、反対意見に耳を傾けようとする意欲、才能を見出す鋭い目、他者を許す寛大さ、成功の功績は分かち合うが失敗の責任はみずからが背負う、といった点に彼女は言及している。これら一連の称賛すべき資質によって、リンカーンは人々の忠誠を獲得し、大物や自尊心の高い面々を引き入れて手綱をさばくことができた。その結果、対立する党派や、大統領の座をめぐって争ったかつてのライバルすら、閣僚の一員に加えることになる。彼らは、「リンカーンはこれまでに出会ったなかで限りなく完璧に近い人物だ、と考えるようになった」という。
しかしグッドウィンは、こうも結論づけている――「リンカーンの最大の弱みは、その強み――概して友好的で、人を傷つけることを好まない性質――から来るものでした」。この資質は彼の判断に影響を及ぼし、相手に何度もチャンスを与えすぎて物事が二転三転し、対処を遅らせることになったようだ。
「どんな強みも行きすぎれば、弱みとなる」
優れた対人スキルを弱みにしないためには、どうすればいいのだろうか。
第1に、その能力は誤ったかたちで発揮される危険を常にはらんでいる、という事実を認識しておくことだ。得意とするスキルへの依存と確信を強めるほど、リスクは高まるということも忘れてはいけない。
第2に、自分とは反対の資質――他者に決然と、現実的に対応すること――の価値を理解しよう。そして最後に、優れた対人スキルとは思いやりだけではなく、その対局のように見える資質――建設的で敬意を込めながらも、厳しい措置をとる姿勢――を併せ持つことだ、という意識を持とう。
いい人だけでもだめということ。
組織のために。
これも、ウェルビーイング!
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