Men wanted for hazardous journey. Low wages, bitter cold,long hours of complete darkness. Safe return doubtful. Honour and recognition in event of success.
「求む男子。
至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の続く日々。絶えざる危険。生還の保証なし。
ただし、成功の暁には名誉と称讃を得る。」
これは、アーネスト・シャクルトンという探検家が1914年にロンドンタイムスに出した、「南極探検乗組員募集」の求人広告のコピー。いわゆる新聞の「行広告」で100年以上も前の話。伝説の求人広告と言われている。
「つらい仕事だよ~」「給料低いよ~」「死ぬかもしれないよ~」と、コピーの半分以上でネガティブ要素を並べているが、ふたを開けてみると、この求人広告には何と5000人以上の応募があったそうだ!
「エンデュランス号奇跡の生還」という本も出ていて、読んだことがある。
実際、私はこの文章を読んでこう感じた。
まず冒頭で「求む男子」というフレーズで、そうか「男子を求めてるんだな、これは何か意味があるんだろう」と直感的に吸い込まれる。
そして、その後の厳しい過酷なくだり。「いぁ~参ったなぁ。やばいよ。やばいよ」と引き気味になるとともに、こんなこと日常生活には無いし、何か怖いもの見たさの感情も揺さぶられる。
そして、最後に「ただし、成功の暁には名誉と称賛を得る」となり、プライドが大きく揺さぶられる。
特に、求人広告では厳しい仕事ではないとか、処遇が恵まれているとか、つい甘い言葉で勧誘することが多くないだろうか。
しかし、敢えてネガティブな要素をしっかり伝えることで、相手にはその姿勢が誠実に映るものだし、応募する側にも覚悟ができるというものだろう。
そういう意味で、この求人広告は優れたキャッチコピーだと思う。
それにしても、こんな過酷な応募に5000人以上も集まったとは驚きだ。
私も、学生時代にボート部に入る時のことを少し思い出した。「日本一を目指すクラブ」ただし「年間300日以上合宿、男だけの大部屋で」という感じだった。
甘いだけでなく、辛いこともセットで心が動いた気がする。
人生もぬるま湯だけでなく、自分にとってのロマンややりがいを見つけて、チャレンジしたいもの。
自分自身への「求人広告」をオリジナルで考えてみても楽しいかも知れない。
これも、ウェルビーイング!
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